家を出ると決めたとき
行くあてなどなかった
行くあてがないから
何処へでも行けた
未来へ踏み出した足は
一歩たりと怯むことなく
ただ ただ
希望と開放感に
満ち溢れていた
そんな僕を裏切るように
体は悲鳴をあげて崩れ落ちる
それでも僕はかまわない
"ホンモノ"の悪夢からは
逃げ出せたのだから
陽当たりの良い窓辺で
穏やかな風を感じながら
ただしずかに横たわる
誰にも避難されず
誰にも邪魔されず
誰にも罵倒されず
ただ
それだけで幸せだった
曾ての日々を思い出し
僕は思わず苦笑する
贅沢になったものだ……と
